Audio & Sound

以下、オーディオ機材提供 一般財団法人日本芸術音楽協会理事によるオーディオ解説です。

日本芸術音楽協会に預けてるオーディオ機材を貸与

コロナ禍で休業していた六本木のカフェがジャズカフェとして再開するアドバイザーを教え子がしていると言うことで、いい音を出したいという話なので、一般財団法人日本芸術音楽協会に預けてある機材等を貸与することにした。

まずは場所を拝見した。全面オーディオの棚が豪華だが、オーディオラックではなく化粧繊維板張り合板の棚。後板はパーチクルボード。横の壁も。コロナ禍の経営難から最低限の外部資金投入でそれでも床下から全ての壁、什器備品を変えての再スタートということで、コンサルタントも入り、教え子店長も投入されての新装開店だが、オーディオ関係には手は回らなかったということで、私が面倒見ることに。オーディオ棚は音響向きの無垢材か、メーカー製オーディオラックを置いて欲しかったが、内装業者にコンセプトだけ伝え任せたそうで、ハイレベルオーディオの要求レベルは内装屋さんの想定外かと。

ということで、まずは最低限の箱作りからした。箱作りとはすなわち音が届くとこ全て。つまり店全部。とはいうものの、まずはオーディオラックと周辺の壁、天井、床。天井は、剥がして白くペイントしただけで、それなりに高く凹凸もあるので、いじるのは後回しに。壁は縦に長い長方形でパーチクルボードに反射した音が作る定常波が手を叩いただけではっきり見えるだいぶダメな音響。左手の壁はライブ用の吸音性の高い音響パネルを貸すことにした。

右手の壁は何故か上部が一面窓。オーディオにガラス面は最悪だが、聞いたら狭く感じないようにつけたそう。窓を活かしたまま、乱反射性の高い木製パネルを貸すことにした。とは言っても手持ちのを貸すので、複数の場所で使ってるものを持って来て音を聞きながら配置することに。日本音響エンジニアリング、サーロジック、QRD、Yamahaと言った音響材の寄せ集め。持ってるものを色々なところから集める。大きいものはピアノ運送に頼むことになる。

次にオーディオラック。本来は棚と背面を無垢材で作り直しだが、時間も予算もない。特に背面は近隣騒音対策から、ケーブル穴だけ開けて、パーチクルボードで覆ったそう。横板も50cm幅で48cmや45cmアンプがギリギリの幅。横に穴はない。ラックマウントして後ろを閉じた感じ。それでは真空管アンプなら火事になるかも。ディスクリートでも熱でやられる。これはオーディオラックといわない。そこで、熱対策としてアンプ等の背後にパソコン用のファンを全棚に置くことに。またパーチクルボードは間違いなく共振する。そこでカーオーディオで共振共鳴対策に使っている接着面付きの鉛シートを背面全て、棚の両側、天井面に貼ることにした。また棚の下面にはオーディオボードを置く。これもTAOC、Acousic Revive、Black Ravioli等を機材に合わせて手持ちから置くことになる。足りなければ購入して貸与。

ジャズで40年経ても王道のJBL4344を選んだ理由

さて、ここからが機材の選定だが、スピーカーを決めないとアンプが決められない。Altec A-7からSonus Fabel、Magico、Franco Serblin、もちろんB&W、JBLと使ってるスピーカーは色々あるが、やりたいのはブルーノート系ジャズということで、それなら敢えてJBL4344かと。アンプは場所に合わせて色々入れ替えてみてもいいが、スピーカーは4344縛りで。後は、機材と音響の追い込みで音を作っていくということにした。

ジャズ主体だと、お客さんが、スピーカー前に出せとか、上に上げろとか、ベースが出てないとか、左右どころか前後の定位がどうのとか言ってくるマニアがいずれ来ることが容易に予想されるが、全機材無償貸し出しの条件として、音の好みは私が独壇的に決めることにした。お客さんどころか他の専門家の意見も聞かない。それと1日一時間ガンズアンドローゼズハッピーアワーを作って、その一時間はガンズだけをかけるという条件を出した。また、ジャズカフェなら、ジャズでテナーやアルトがナチュラルに鳴る音響設定狙うと思うが、スラッシュのギターが一番鳴る設定にして、それで音量以外は変えずにジャズを鳴らすという条件にした。ジャズとロックの両方の設定を維持出来るスタッフはいないと理解したので。

もちろんエレキギターはアルトもテナーも音域だから、スラッシュが鳴ればソニーロリンズも鳴るはずだが、音響の追い込みはスラッシュのギターが一番本物に聴こえるようにやる。それと音圧は近隣への騒音対策から店舗中央部で70db上限とし、70dbでガンズが一番リアルに鳴るようにということにした。

スピーカーは4344縛り。4344と4344MK2が2ペアづつあるので、それぞれを1か月づつ試して一番相性がいいのを貸し出すことに。ただ、スペアあったほうがいいのと、見栄えも考えて4344と4344MK2を1ペアづつ店舗にディスプレイで置いとくことにした。

 JBL4344は1982年発売の40年前のスピーカ、1メガヘルツまでフラットなDan Dagostinoとかのアンプとマッチングすることはあり得ない三世代以上前のスピーカー。ただ、ジャズとなるとこの4344が王道なのは40年経ても変わらない。中高域ドライバー2421B(2425J)、高域ホーントゥイーター2405(2405H)。そして低域に38cmコーンウーファー2235H、黄金の組み合わせ(MK2だと、高域2405H、中高域275Nd、低域ME150HS)。

JBL4344縛りにしたのは、4344が日本でしか売られてないモデルだからというのもある。4350で代表されるJBLのプロ用4ウェイスタジオモニターがバイアンプ駆動(ステレオパワーアンプを二台、通常低域ステレオ、中高域ステレオで二台、またはモノラル4台)で、当時の日本人のお財布には厳しかったのと、日本人はプロ用、モニター用という言葉に弱かったので、賢いJBLが日本向けにネットワーク入れて、もちろん当時最高のドライバーユニット組み込んで作ったのが4344。アメリカのカタログにはない。

当時のオーディオ雑誌見ると、定位がすごい、広帯域だ、音が前に出ると、高名オーディオ評論家の方々に4344は絶賛されているが、これが日本向け"プロフェッショナルスタジオモニター"で少なくとも本国米国のスタジオ用プロモニターではないことは書かれていない。知らなかったのか、知ってて書かなかったのか。

当時はジャズ喫茶黄金期で、また、バブルにかけての高度成長期を経て4畳半が6畳8畳と"広く"なった日本のリビングルーム向けに1万台売れたそう。もちろん日本国内のみの販売。スピーカー片側だけで、幅635x高さ1051x奥行435mm、重さ96kgの4344はスタジオモニターとしてもデカすぎたはずだし、日本のリビングにはミスマッチと思うが、傑作であったことは間違いない。

オーディオの世界は1940年代とかの戦後初期から1960年代ぐらいの20年間ぐらいまでの期間、武器作らなくて良くなったノーベル賞級の物理学者がウエスタンエレクトリック(WE)やATTベル研究所などで理論作りから物理特性定義までやり切り、現在の最新鋭のオーディオも彼らの60年代までの理論で動いてる。1957年のJBL D44000パラゴンがその例で、未だにこれに叶う音は聞いたことがない。

4344もまさにそれで、JBLのエンジニアが手元のユニット組み合わせて特性計算して、彼らが思う日本の家庭事情向けに作ったのが、大傑作だった。もしかしたら日本の家屋は部屋サイズが6畳とか8畳でも木と紙で出来てて音抜けがいいこと知ってて煮詰めた設計なのかも知れない。

結果、現在4344は日本以外の国ではレアものとして、マニア向けに高価格で取引されている。特に中国と台湾での人気が高いそう。六本木という場所柄JBLの母国アメリカからの来客にも4344は喜ばれると思う。

国内で1万台売れたのと、1980年代のオーディオマニアの方は大分高齢と思うので手放す人多いのか、日本ではペアで60万円ぐらいで状態それなりのが買える。もちろんエッジ交換は必須だし、コンデンサは要交換。バイアンプ駆動でもアッテネーターのメインテナンスと中高域用コンデンサもある。それでも家のサイズに余裕あるならスピーカー買うなら今でも4344と思う。もちろん、1980年代オーディオマニアは現在80歳、90歳以上と思うから耳年齢から彼らのシステムはいい音のはずがない。私の父親のシステムがそうだった。だからいい音で鳴ってる4344はもはや貴重と想像される。

ならばこそ、今、オールドJBLが気になってる人にもレファレンスになる音にしたい。マークレビンソンとマッキントッシュの組み合わせはJBLと相性がいい。どちらかがプリでもパワーでもいい。組み合わせるといい。ただ、この王道ではわざわざ組み上げて追い込む必要はない。

世界トップレベルの音になるように僕の愛用機材から音響機材を貸与することにした。Jazz Cafeなので、スピーカーはB&WやMagicoなど特性がフラットな現代高級スピーカーではなく、敢えて、ジャズ喫茶で40年に渡って不動の定番位置を確保して来た1980年代初期型JBL4344スピーカを貸すことにした。

僕が普段使ってるケーブルペアの何分の1の価格の"中古品"だが、これを世界最高レベルの音で鳴らす楽しみ/苦労を提供したつもり。鳴らしづらいスピーカーだし、空間の影響を受けやすいので、鳴らす場所を見てから貸与する機材を選定した。いわゆる箱型スペースで天井、床、両壁がライブ過ぎなので、壁の片側と天井と床のどちらかに吸音材を入れることを推奨した。定常波が防げているという前提で以下を考えた。

JBL4344は出力音圧レベルが93dbしかない。能率で言えば1%ぐらい。僕がジャズをよく聞くAltec A7は104dbで能率は16%。Altec A7はWE300B真空管シングルの8Wでジャズをこなすが、同じ感覚で鳴らすには片チャンネル100Wは最低いる。真空管なら100Wでいいが、ディスクリート回路だと400Wはないと4344は満足に鳴らない。

音質考えると愛用してるスイス製真空管アンプNagra 300iがチャンネル当たりWE300B真空管二つのプッシュプルでお勧めだが真空管アンプは店のスタッフがハンドル出来ないと思うし、少しパワー不足。その前にNagra 300iは1000万円のアンプ。後で書くけど結局もっと凄いことになるけど、この時点で真空管アンプはやめた。

McIntoshのステレオ両側400W超クラスのバイワイアリングは定番だが、敢えて現在のレファレンスの組み合わせを模索する。

そこで、愛用してる機材の中でもレアなパワーアンプFM Acoustics FM801とFM Acoustics FM401の2台をバイアンプ用に貸すことにした。FM Acousticsはスイス最高峰のアンプメーカー。

FM801は片チャンネル8Ωで400Wの業務用高耐性の特別仕様。超レアなまさに幻のアンプ。今は同様なモデルは民生用の1811が片チャンネル8Ωで500W。日本の販売価格はもし在庫あっても高くてまず買えない。FM401の方は民生用で現行はFM411。8Ωで160W。この出力でも1000万円級。円安と半導体不足で手に入れられるかは知らない。個体数が極端に少ない機材のバイアンプ接続なので、真似してくださいというレファレンスにはならないが、4344の音のレファレンスにはなると思う。

ターンテーブルはLinn KLIMAX LP-12 RADIKALにした。Sondekの方が好きという人もいるようだけど、僕はKLIMAXの音しか満足出来ない派。約束通り個人の好みで決めた。というかKLIMAXは二台手元にあり一台貸せるが、Sondekは持ってない。やはり好みで針はVAN DEN HUL COLIBRI XPPになる。

普段はレコードでなく音源でやるのが現実的だからUSB-DACをSSDからハイレゾで鳴らすことになる。家でパラゴンにNagra 300iに繋いでるPlayback Designs MPD-8を貸すことにした。これは現時点で間違いなく世界最高峰のDAC。異論がある人はまずいないはず。こちらも半導体不足でオーダーしてもいつ手に入るか分からないそうでこの音を聞いてもらうだけでも価値がある。

プリアンプはMark Levinson LNP-2になる。JBL4344の時代に合わせるとなると、これ以外では僕の手元に相応しいアンプはない。これがマスタープリ。予備保管でたまに通電してるLNP-2Lが一台あるのでこれを貸与することにした。状態はいい。ただ、スピーカー周囲の音響空間の周波数特性がでこぼこすぎで、6バンドイコライザが入ったcello AUDIO PALETTE も考えたがやはりオールドJBLにはLNP-2。LNP-2Lの後に音質調整にcello AUDIO PALETTEを入れることも考えたが、僕のAUDIO PALETTEは初期型でプリアウト一つなので、この後に書く理由でやめた。

LNP-2LからKrell KBXチャンネルディバイダーを経由して更に二台のMark Levinson No 26L経由でパワーアンプのFM Acoustics 801低域担当と401中高域担当にそれぞれ繋ぎ、JBL4344にバイワイアリング接続とした。上下左右のバランス取るのにもう二台プリアンプ通すことにしたのでプリアウト一つだけのcello AUDIO PALETTEは入れなかった。

ここで、KrellのKBXチャンネルディバイダーは当然4344用にクロスオーバー周波数290Hzの基盤が入ってるやつ。1993年発売の当時の最高峰。KBXは4344用のチャンネルデバイダーとしては力強く高相性。ただ音をKrell色に色付けする傾向はある。普通のアンプが高級Krellになる感じ。もちろんいい色に。内部完全バランス回路でLNP-2LからXLRバランス接続でNo.26Lに繋げる。KBXは、LowとHighで出力絞れる。ただ、Krell KBXはFM Acousticsとは相性悪いとされる。Krell色の色付けがFMの微細な倍音表現を潰してると感じられるよう。僕の経験ではKBXのLow,High出力ボリュームを絞ると倍音成分に変化が生まれ色が付く。これはFM Acousticsの細やかな倍音成分に干渉するよう。ただ、ボリューム全開だとKBXはFM Acousicsの倍音色をあまり変えないと感じている。

これが理由でLNP-2Lの後にNo.26Lを中高域用と低域用に二台入れた。通常なら、LNP-2Lの後、Krell KBSに直結で、左右のバランスはLNP-2Lで、中高域と低域のバランスはKrellでやるが、Krellのボリューム回路はどうも倍音成分に影響が大きく、FM  AcousicsがKrellになってしまうので、KBSはボリューム全開で、周波数分割回路のみの利用とした。その上でLNP-2Lで部屋の音響特性上のLow, Mid, Highを調整する。また、4344のスピーカー上の特性としての中高域と低域の音量調整と左右の音量調整は二台のNo.26でやる。

これで満足出来なかったら1997年にJBL用に発売されたとされるAccuphase のF-20にチャンネルデバイダーを変えることも考える。Accuphaseも父親の代からお世話になってる日本を代表するオーディオメーカーで、もちろんFM  Acousticsもナチュラルに慣らしてくれるはず。ただ、まずはKrell KBXのアメリカンな音をJBLと組み合わせてみたい。Krellはダン・ダゴスティーノさんが創業した米オーディオトップメーカーの一つ。ダン・ダゴスティーノさんは今はKrellを離れ、冒頭で書いたDan Dagostinoという現代アンプの最高峰を作ってる。僕もプリアンプ、モノラルパワーアンプ2台をMagico Q7に繋いだり、前に書いたパラゴンにスイス製真空管アンプNagra 300iを繋ぐ時以外はステレオ版のDan Dagostinoパワーアンプを24時間鳴らしっぱなしにしてる。

さて、DACのPlayback Designs MPD-8 DACはXLRケーブルの影響をストレートに受ける。ケーブル一つでこんなに変わるのだという典型。電源ケーブルの影響はあまり受けない。アナログ部がケーブルの影響を思いっきり受ける。そこで、MPD-8 DACからLNP-2Lプリアンプへのインターコネクトケーブルを、パラゴン用で自宅のLNP-2LからDan Dagostinoステレオパワーアンプに繋いでるNordst Odin2を外して貸すことにした。コロナ期間中24時間鳴らしっぱなしだったのでエージングもバッチリだ。

FM Acoustics FM801は電源ケーブルの影響をもろに受ける。ここもDan Dagostinoステレオパワーアンプで長年使って来たNordost Odin電源ケーブルにすることにした。電源ケーブルをNordst Odinに変えるとJBLのウーファーは、音圧をいくら上げても音が緩まない。JBL D44000 Paragon, JBL DD55000 Everest, JBL DD66000でNordost Odinは使って経験して来たので、4344の2235Hウーファーでも同じはずだ。因みにスタッフがビックリするのでNordst Odin, Odin2の価格は言ってない。

ここまでが、ジャズを鳴らすために貸与提供したシステムのJBL 4344スピーカーまでの流れ。音源は、アナログが、Linn KLIMAX LP-12 RADIKAL。昇圧トランスもヴィンテージのNEUMANN BV33を奢った。デジタルは、DELA N-50からUSB-DAC接続で、Playback Designs MPD-8 DAC。

機材貸与の条件の1日一時間のGuns'n Roses ハッピーアワー用の音源は、今時のハイレゾマスター音源のストリーミングにしたので、今時の機材。結構音がいい。今時のストリーミングの音質のレファレンスにどうぞ。

ストリーマに、Silent Angel M1T Hi-Fi Music Streamer、バックアップにLinn KLIMAX DS/K Renew.  DACは、MYTEK HI-FI LIBERTY DAC II。それと、JBL 4344には邪道と言われるのを覚悟で、スーパーツィーターをつけた。モデルは、BATMASTER/TSC SUPER TWEETER。

上でスラッシュのギターを再現するシステムにすると言った。スラッシュのピッキングハーモニクスはスーパーツィーターなしでは彩やかにならない。スーパーツィーターをドライブするプリメインアンプは高い周波数帯が出ればこだわるのは意味ないかも知れないが、ギター音の美しさ(というか弦楽器全般)と、見た目の美しさで、Sonus faber MUSICAプリメインアンプにした。

オーディオ配線図について

最後になるが、JBL 4344の内部配線の線材はヴィンテージのウェスタンエレクトリックにした。

これで、接続は以下の図1ようになる。電源はノイズが多そうなビルだったのでAccuphaseを入れた。

図1

これでしばらく鳴らしてみた。店はジャズはブルーノートレーベル1500番台のみをかけるオールドジャズ専門の店として当面行くことになった(除く機材貸与条件のガンズハッピーアワー)。ブルーノート1500番台は録音は1940年代から50年代。一方、ガンズアンドローゼズは1990年代米国トップバンド。10年間抜けてたスラッシュも2016年に復活し、2022年末にも埼玉スーパーアリーナで90年代ヒット曲を主にカバーしてたが、現役トップバンド。スーパーアリーナでもスラッシュは最新の機材を使いこなしてた。その音をハイレゾマスター音源で再現するのに特化した設定で50年から70年昔の1950年代音源を鳴らすのは無理があるのは最初から分かってた。録音技術もイコライザーカーブも違う。RIAA以前のカーブさえある。

自宅では、1950年代のWE300B真空管で1950年代オリジナルユニットのJBLパラゴンでブルーノート1500番台を聞いている。もちろん最高の音。これが1500番台の聴き方。

ではどうするか、あくまで店のメインは1500番台ブルーノート。但し、スラッシュの生ギター音再現は手を抜きたくない。そこで、ジャズ側再生ルートの音質は損なわず、ガンズの音作りを分けるように、ロック側入力にDACの直後にもう一台プリアンプ入れることにした。全体の統一感からはやはりMark Levinson。丁度修理中のMark Levinson No.26SLが戻って来たので、これをFM401の前のNo.26Lと入れ替え、No.26LをMyTek Liberty II DACとLNP-2Lの間に入れることにした。

音圧は増やしたNo.26Lでジャズとバランスを取る。音質はこの経路のケーブルで調整する。DACのMyTek Liberty IIは2022年発売の最新のモデルだが、デジタルケーブルの線材で音が全然違う楽しみなDACだ。接続もAES/EBUと同軸でも音が変わる。特にAES/EBUでガンズに合うケーブルがいくつかある。これとLNP-2に繋ぐインターコネクトケーブルの選択でスラッシュ向け音作りをして行く予定だ。音に迷った時は信号経路のケーブルを変えるのが正解。そのためにプリアンプを一台増やす。多段プリでは増やしたプリのトーンコントロール回路は不要。可能であればバイパスが望ましい。プリアンプ自体がボリューム調整付きケーブルという感覚。音質はあくまでケーブルで調整。このシステムでは、音作りはあくまでLNP-2Lで、ケーブルと音響材で音質、音響を変えて行く。

これで現在のセットアップは以下の図2となった。

図2

樹齢2000年の屋久杉を音響版に

おまけだが、ライブでも、オーディオ再生でも聴いてる音の多くは壁、床、天井で反射してくる間接音。実際、コンクリートで反射してくるサントリーホールの音に疑問を感じるアーティストは多い。もちろん、我が国の代表的な音響パネルメーカーの音響材は入れるが、六本木に来る外国人に日本でしか聞けない音を見せようと思って考えた。結果、1982年、丁度JBL 4344が発売された年に伐採が禁止され、1993年には日本初のユネスコ世界自然遺産として登録され、現在入手は事実上不可能となった屋久杉の樹齢2000年ものを、恐らく世界で初と思うが、音響板として入れることにした。屋久杉は、屋久島で標高500mを越える山地に自生する原生樹で、樹齢1,000年を超える杉のみが“屋久杉”と呼ばれる。

通常、杉の寿命は500年ぐらいなのが、屋久杉は2,000年を超える巨木がある。有名な『縄文杉』は樹齢7000年超と推定されている。屋久杉は中心部が微生物により空洞になり大きく成長していくため、大木はある程度以上の年輪を数えられず推定となる。 屋久杉は、花崗岩の山地で育つため成長が大変遅く500年で直径40㎝にしか成長しない。成長が遅い分材質が緻密になり樹脂分が多く、 腐りにくいのが長寿の理由とされている。世界自然遺産登録で伐採が全面禁止となり、江戸時代に伐採された放置倒木の土埋木(どまいぼく)や切株、台風などの後の倒木のみが競りで取引されていたのが、2019年からは競りも禁止され、現在では入手不可能の木材となり、大変貴重な材。樹齢2000年超の屋久杉を音響板にした効果は皆さんの耳で判断して欲しい。

音響板として貸与したのは、光明杢や瘤虎杢が出てる屋久杉最高峰の杢が出てる特大1枚板。これは見るだけでも価値がある。元々、業務用FM Acoustics 801によるリアル400Wx2の強烈な低域音圧は音響材入れても床鳴りするレベルで、絨毯を敷くことも考えたが、せっかくのエネルギーを吸収するのはもったいないので、樹齢2000年の分厚い屋久杉一枚板で受け止め、離れた席まで樹齢2000年屋久杉反射の音色を届けることにした。また、板の丁度いいところにウロ穴がありバスレフポートではないけど低周波の一部を上に逃す効果も狙ってる。だから、樹齢2000年の材を音響板として使うという壮大な実験でもある。

※以下、2023.1.19に追記

遂にCello Audio PALETTEを導入

スピーカーをフィックスするために手持ちの4台のJBL 4344を2週間づつ順番に鳴らすことにした。4344を2台と4344MK2を2台。最初に4344を2台で比較。相性が良い方を選び、そこから、アッテネーター、プリアンプ設定や音響パネル配置で追い込みをして4344で一番いい音を作った。これを色んな音源でしばらく鳴らして、4344MK2に入れ替えた。4344用の設定はそのままではMK2には合わない。MK2に合わせてまたアッテネーター、プリアンプ、音響パネルの再調整をしばらく続けた。結果、MK2の方が高域に余裕が出た。

もう一台のJBL4344MK2はセームエッジに交換してあるので、オリジナルのMK2のレファレンスにはならないので、このノーマルの4344MK2で、プリアンプ、チャンネルデバイダーを見直すことにした。というのは、Slashのギターはかなりいい音になったが、試しに最近の録音のグランドピアノを聴いてみたら、自宅のダンダゴスティーノとMagico Q7の組み合わせに大分劣った。もちろん、3世代ぐらい違う最新の3000万円スピーカーとペア60万円そこそこの80年代JBLでは比べるのが酷だが、グランドピアノ再生でここまで差があるとは思わなかった。ステレオ再生音響理論は60年代には進化は終わっているはずだが。

ジャズやロックはJBL4344MK2が確かに相性がいい。Magico Q7では本物より良くなってしまう。特に90年代ロックのスピーカーキャビネットは、JBL4344MK2のME150HS 38cmコーン型ウーファーそのものでなくても、近いJBLユニットや同様なAltecやElectro-Voiceユニットが入ってるから、相性がいいのは当たり前だ。

ただ、コンサートピアニストの弾くスタインウェイの音の解像度が出てない。別なリビングルームでプリアンプをMark Levinson LNP-2、パワーアンプをダンダゴスティーノで聞いてるJBL D44000パラゴンでは、スタインウェイのグランドピアノはちゃんと鳴っている。うちのパラゴンは最初期の150-4Cの38cmコーン型ウーファー。同じJBLで4344MK2のME150HS 38cmコーン型ウーファーの25年前のスピーカーでちゃんと鳴ってるのだから、比較すればMagico Q7に負けるのはしょうがないが、グランドピアノは再生出来るはずだ。チャンネルデバイダーKrell KBXかMark Levinson No.26の解像度が足りない可能性がある。

そこで、まずはチャンネルデバイダーをKrell KBXからAccuphase F-20に変えてみた。もともと、Krell KBXが色が濃いので、Mark Levinson LNP-2の前段ロック用プリアンプをナチュラルかつ解像度が高いプリアンプに変えることを考えていたので、Krell KBXより癖のないAccuphase F-20が望ましいと考えた。結果、音源からLNP-2に直で入るジャズルートの音質が格段と良くなった。

Accuphase F-20(https://www.accuphase.co.jp/cat/f-20.pdf) は、周波数分割フィルターカーブGeneralised Immitance Converters (GICs)特性を採用してるチャンネルデバイダー。GICsガウシャンフィルターは以下にある。

https://www.tij.co.jp/jp/lit/an/sbaa001/sbaa001.pdf

次に、Guns n' Roses 再生用のRockルートのMark Levinson LNP-2の前段に、Mark Levinson No.26に替えて、スタジオレーコーディングパラメトリックイコライザーのCello Audio PALETTEを入れた。ジャズルートの音はチャンネルデバイダー変更で満足したので変えない。ロックルートの音をスタインウェイのコンサートグランドピアノを正確に再生出来るようにしたい。ピアノの音域は交響楽団の全ての音域をカバーする。もちろんロックの全ての楽器の音域もカバーする。音色もあらゆる倍音をコンサートピアニストは出す。

スタインウェイのコンサートグランドピアノの音が正確に再生出来れば全ジャンル対応出来る。ジャズルートはオールドジャズ特化だが、ロックルートはロックからクラシックまで鳴らせる設定にしたい。

ここで選んだCello Audio PALETTEは、マークレビンソン氏がMark Levinson社を去って立ち上げた業務用スタジオ機材メーカーのCello社の最初の製品。気合いが入ってる。また、いい状態の個体は現在極めてレア。スタジオレコーディング用のパラメトリックイコライザーとして、プロのレコーディングやマスターリングのスタジオで活躍した。そして、あまりの音質の良さに特に高価であるにも関わらずアメリカのオーディオマニアがホームオーディオでプリアンプとしても導入した。それでオーディオプリアンプとして日本で知られるようになった。もしかしたら1980年代の日本のオーディオマニアはcello AUDIO PALETTEがスタジオ用機材であったことを知らなかったかも知れない。

Cello社は1984年にYale大学で有名なConnecticut州New Haven市にマークレビンソンさんにより設立された。最初の製品であったCello Audio PALETTEは、著名エンジニアや音楽プロデューサーに絶賛されたそう。因みに私は1985年からYaleに通っていたが、Cello社は知らなかった。ただ、今愛用してるcello AUDIO PALETTEが丁度New Havenに住んでた頃にマークレビンソンさんらに手作りされていたと思うと感慨深い。それが超レアなこの機材も貸与しようと思ったゆえんでもある。皆さんにも80年代New Havenの空気感を味わって欲しい。

Cello Audio PALETTEは、以下の記事が詳しい。

https://audiodripper.jp/cello-audio-palette-preamp

http://audiosharing.com/review/?p=5566

しばらく、Mark Levinson LNP-2の前段をCello Audio PALETTEに変えて、スタインウェイコンサートグランドピアノの音の再生に挑戦してみることにする。成功すれば、まだ再生し切れてないライブでのSlashのギターの微細な倍音表現タッチを再現することが出来るかも知れない。因みにスタインウェイのグランドピアノは3台持っており、それぞれの音色は日々慣れ親しんでいる色で間違えることはない。また、コンサートホールにおけるスタインウェイコンサートグランドピアノも長年聴いており、また、コンサートピアニストがコンサートグランドと通常のグランドの両方で弾いている音色の差異もよく覚えている。だから目指す音は分かっている。

※ 現在のセットアップは以下の図3となった。(2023.1.19現在)

3

※以下、2023.1.23に追記

Cello Audio PALETTEの設定完了。コンサートグランドピアノの音を再現

その後、Cello Audio PALETTEの設定を毎晩店舗終了後にやり続けた。結果、ほぼ正確にスタインウェイコンサートグランドピアノの音が再生されるに至った。例えば、軽井沢大賀ホールの有名なスタインウェイD274 ミケランジェリ(https://www.ohgahall.or.jp/summary/index.php)をコンサートピアニスト本人が弾いてる生演奏の記憶とレコーディングされたハイレゾ音源を比較してもかなり正確に再現出来ている。

音響材でホールの音響までシミュレート出来てる訳ではないが、スタインウェイコンサートグランドピアノの音色そのものはかなり正確に再現出来たと思う。JBL4344がここまで正解に再生出来るとは正直思っていなかった。Cello Audio PALETTE恐るべし。もちろんFM Acoustics 401と801の地力がベースであることは間違いない。

また、質量、密度が桁違いの樹齢2000年屋久杉音響材の効果は間違いなくある。スタインウェイのコンサートグランドピアノの響板には、樹齢が200年から500年の北米スプルースを数十年寝かせたものが使われているとされる。杉と松の差はあるが、こちらは樹齢2000年強。

また、1982年の屋久杉伐採禁止もあり、樹齢2000年超オーダーの材は、江戸時代に伐採の放置倒木の土埋木(どまいぼく)、つまり、数百年寝かされた材。普通の木なら腐ってるが、屋久杉は樹脂が特別多く数百年でも腐らない。だからこそ音響材として理想的と思っているのだが、スタインウェイコンサートグランドピアノの響板に勝てる恐らく唯一の木材。実際低音巻弦のフォルテ、フォルティッシモで振動する樹齢2000年屋久杉一枚板を指で触れていると生命のエネルギーがビシバシ来る。

ただし、Cello Audio PALETTEで設定を煮詰めて感じたのは、グランドピアノ再生を突き詰めると、協奏曲ではバイオリンの倍音が少し違って来る。逆にヴァイオリンに倍音成分を合わせるとグランドピアノの倍音が不正確になる。マスタリングの問題のよう。色々なピアニストと交響楽団の組み合わせでやったけど全て同様。

ヴァイオリンとグランドピアノの両方の倍音成分を正確にマスタリングするのは難しいよう。これはハイレゾ音源で初めて気がついた。可聴領域外倍音は対象ではなかったこれまでのマスタリング機材ではエンジニアは気がつかなかったのでは。ただ、古い録音ではこれは感じない。当時のアナログエンジニアが凄かったのか、古い録音は元々音質が可聴領域外倍音レベルでは範疇外なので音質として気にならないだけかも知れない。もしくは、今のデジタル録音のエンジニアは、スペクトルアナライザーとかでしか倍音成分を見れてないのかも知れない。

悩んだ結果、ヴァイオリンとコンサートグランドピアノの倍音成分の中間で設定した。

たまにチェックでクラシックをかけるので、その時皆さんがいれば、スタインウェイコンサートグランドがかなり高い倍音成分まで含めて十分に正確にJBL4344MK2でも再生出来てることが分かるはず。かつて訪れた時に、一関のベイシーの菅原さんも営業時間外にクラシックを聴かせてくれた。正確に調整されたジャズ機材は、クラシックもちゃんと再生出来るということ。

※以下、2023.1.25に追記

昨夜はPez Magic Ears and Eyes Only閉店後に、軽井沢大賀ホールのスタインウェイD274ミケランジェリで、実際に著名レーベルレコードの録音をしたコンサートグランドピアニスト本人を招いて、本人演奏レコードのマスターテープ音源を聴いてもらった。それで1時間以上かけて、本人の感想に合わせて、Cello Audio PALETTEの各周波数帯のパラメトリック微調整を何回か行った。

15Hz帯、120Hz帯を何回か微調整したので倍音成分の影響から上の周波数帯もその都度全て微調整しては何度も全周波数帯を微調整した。一昨日までの設定でもコンサートピアニスト本人も驚いてくれたほど正解だったが、実際弾いた本人の感想で更に微調整出来た。

何度か繰り返した結果、コンサートピアニスト本人から、「ホール観客席で聴いている音でなく自分で弾いている音」だと言われた。これはその通りで、オンマイクの録音なので、正解に調整出来ると、響板の振動以外の、ホール観客席では聞こえない、巻弦の振動が隣の弦を震わせる音や、棚板や響棒、筺体の一部がいくつかの周波数帯で僅かに共振する音が聞こえてくる。それで、観客席ではなく弾いている時の音が聞こえてくる。

ここから更にしばらく微調整した。結果、「弾いて鍵盤が浮き上がってくるのが感じられる」とコメントが出た。グランドビアノはアクションがアップライトの縦置によるスプリングでのハンマー戻りではなく、ハンマーが弦を叩いた時の反力と重力で戻る。その重力戻りの感覚は弾いてると象牙(人工象牙)が指を追って浮いてくるように感じられる。グランドピアノ独特の感覚。それを聴いてて感じたと言うこと。調整が完成した。

昨晩で、今の回路での調整は完成した。とりあえずは成功した。そこで今日からは、音色にまだ不満なところがあり、それを改善する。そのためには、せっかく完成したのだが、一度機材を組み直し、音質に影響の特に大きい所を変更することになる。だから調整は今日からやり直しになる。

変更はF-20の下図の出力バランス回路に関わる部分になる

https://audio-heritage.jp/ACCUPHASE/etc/f-20.html



※以下、2023.1.25に更に追記

かつてステレオアンプにRCA出力に加えてXLR出力が付き始めた頃、XLR出力が、実はバランス出力ではなく、アンバランスだったというのが結構あったそう。シールドグランドの代わりに1番ピングランドだったのだろう。バランス接続は通常HOTもCOLDともにアースから浮かせると思うけど、アンバランス接続で、片側アースだったのかも知れない。

かつては、バランス出力が高級アンプのシンボルみたいな感じだったので、実際はアンバランスなのに、わざわざXLR出力端子をつけて売ってたメーカーがあったのだろう。同じアンバランスでもXLRプラグの方が抜けにくいというのもあったのかも知れない。XLRは方向性があるプラグだから、パワーアンプ側を片側アースにして、プリアンプ側にアースしないという効果を狙ったのかも知れない。AccuphaseのRCAケーブルは確か最初から片側アースでパワーアンプ側が片側アースになるように方向性があったと記憶してる。それをXLRで、ユーザーが知らなくても方向性が出るようにしたのかも知れない。

どちらにしてもXLRプラグ接続で実はバランス接続でなくてアンバランス接続だったというのはびっくりだが。

また、ちゃんと平衡回路が入っていて本当にバランス出力であってもRCA出力の方が音がいいというヴィンテージ機材はある。僕も経験してる。ライン出力の平衡回路は、通常NPN型トランジスタとPNP型トランジスタのペアを2つづつ反転側と非反転側で使うから、トランジスタだけで計8個のトランジスタを使ったはずだから、パーツの特性も均一で配線もしっかりなされてなければ対アースインピーダンスだけでもHOTとCOLDが全く同じにはなり得ないから、実はRCAケーブルのシールドよりノイズは防げずで、かえってパーツ量や追加回路分で音質劣化があるものもあったのかも知れない。というか、RCAケーブルに比べてXLRの信号ケーブルは総じて細くて頼りない。

Accuphase F-20はXLRバランス出力はホンモノの平衡回路が入ってる。実際、カタログに平衡回路が図示されてる。カタログに入れるぐらいだから他メーカーでは平衡回路が入ってない"バランス"出力が結構あったということなのだろう。実際、長年使って来たけど、AccuphaseのXLR出力はどの機材も音がいい。パーツが徹底的に吟味されてる。電気特性、物理特性、音響特性を徹底管理してパーツ配置されてるのがよく分かる。僕のオーディオ機材配置は平衡回路が必要なほどケーブルは長くならないし、ノイズが多い環境ではないが、Accuphaseのバランス出力の音が好きだから、僕はAccuphaseを使う時はXLR出力を選ぶ。

さて、先日、チャンネルディバイダーをKrell KBXからAccuphase  F-20に替えた。効果はテキメンで特にMPD-8の音質が劇的に良くなった。もしかしたらKrell KBXのコンデンサーとかが劣化してたのかもしれない。

また、Krell KBXは音に独特のKrell色がいい意味で着く機材だ。特に出力を絞るとそれが顕著になる。Mark Levinson LNP-2プリアンプの音色には影響を与えないように、Krell KBXの出力はLow側High側共にフルアップにした。

そのため、JBL4344のLowとMid/Highのバランスを取るため、Low用とMid/High用に1台づつMark Levinson No.26を2台入れたことは前に書いた。

Accuphase F-20は出力コントロールのアッテネーターが低域用と高域用に独立して付いており、アッテネーターによる音質劣化はない。これはつまり2台のMark Levinson No.26 は不要になったということだ。

それで、No.26 2台は外し、Accuphase F-20から、低域はFM Acoustics FM801に、高域(中高域)はFM Acoustics FM401に直接バランス接続することにした。

FM Acousticsは入力信号の良し悪しにストレートに反応する。ここで最高の音質を維持できなければ、何の意味もない。そこで、Nordst Odin XLRケーブル ( https://www.electori.co.jp/nordost/ic_ODIN.pdf )を自宅リビングのオーディオから外して来た。長年毎日24時間鳴らし続けて来たケーブルで、完璧にエージングしてる。

また、せっかくCello Audio PALETTEを入れたから、Playback Designs MPD-8 DACからの信号も、Celloに通すことにした。自宅でMaranz 7から、スイス製真空管アンプNagra 300iに繋いでるWire World Platinum Eclipse RCAにする。Celloとは特に相性がいい。

※以下、2023.1.26に追記

Mark Levinson No.26 2台をNordst Odinに変更

予定通り、Mark Levinson No.26 2台を抜き、チャンネルディバイダーAccuphase F-20から290Hz以下と以上をそれぞれFM Acoustics 801と401に、Nordst Odin XLRケーブル ( https://www.electori.co.jp/nordost/ic_ODIN.pdf )で直結した。見た目がいいので、No.26 2台はそのまま置いておくことにした。

前に書いたように音作りはケーブルでの典型。価格のことは言いたくないが、実際、プリアンプであるMark Levinson No.26より、Odinケーブルの方が値段も高い。

特にこの2ペアのオーディンは長年24時間365日ジャズを流し続けたケーブル。電子の通り道が理想的なジャズ空間になっている。

そして、F-20は昨日書いたように平衡回路が優秀で劣化がない。また、アッテネータも無色透明で、低域と中高域の音量バランスをCello Audio PALETTEとMark Levinson LNP-2の音色を変えることなく調整出来るはずだ。マークレビンソンさんの代表作二つのレアなコンビネーション。

結果は予想通り、いきなりベールが剥がれた感じ。鮮度が桁違いに上がった。更に、予定通り、Playback Designs MPD-8 DACから、相性のいいWire World Platinum Eclipse 7( http://naspecaudio.com/discon/wire-world-discon/interconnect_cable-series7/ )のRCAケーブルでCello Audio PALETTEに接続するルートも作った。Platinum Eclipse 7はもう作ってない。このケーブルも数年間24時間鳴らし続けたケーブルで、Celloとの相性は完璧。これで、MPD-8からのジャズは、Celloを通すルートと通さないルートが出来た。もちろん通した方が断然いい。

鳴らしてみて分かったのは、予想以上にMark Levinson No.26を抜いたら低域の音圧が下がった。No.26は、McIntosh全盛の時代の製品だから負けずと低域をブーストしていたのではと思われる。No.26にはトーンコントロールがないので、最初から低域ブーストしてると思われる。昨日までのCelloの設定は全く使えない。というより、Mark Levinson LNP-2のLow, Mid, Highもやり直す必要ある。

まずは、チャンネルディバイダーAccuphase F-20でアッテネータ設定をした。低域はアッテネートせずフルで。中高域はまずは半分で。というのはMark Levinson LNP-2のHighは上げるといい色が出てくるのと、Midは絞り気味から始めたいので、中高域はアッテネータで半分に落として、HighだけLNP-2で上げた状態から、Cello Audio PALETTE各周波数帯域を調整したいからだ

昨日までの設定を出来るだけ活かしたいので、No.26が抜けて下がった低域の音圧は、LNP-2のLowで補正しといた。

ここから、Cello Audio PALETTEの調整。まずは、ジャズで基本音を作ってみた。最初に、中高域はいつもチェックに使ってるSony RollinsのアルバムSaxophone Colossusの一曲目St. Thomasで調整。次に低域は、Gregory PorterのアルバムLiquid Spritの一曲目No love dyingで調整。定石通り、Celloで25KHzを調整してから15Hzから高い方へ順に。ジャズは500Hzを上げるとテナーもアルトも前に出て来ることは分かっているが、コンサートグランドピアノは更に低域を上げて、500Hz帯は下げないとちゃんと鳴らないから、500Hz帯はとりあえず0(真ん中)にして調整した。

ブルーノートの1500番台をやりたいと言われてるので、プレスティッジ・レコードのSaxophone Colossusだけで調整という訳にはいかないので、ブルーノート1500番台の数曲で微調整。

ジャズ何曲かで微調整してから、コンサートグランドピアノのマスター音源で調整に入った。コンサートグランドピアノを鳴らすのはジャズにストレートに合わせたままでは大分違う。Saxophone Colossusは1956年だし、ブルーノート1500番台も1956年からだ。レファレンスにしてる軽井沢大賀ホールのコンサートグランドピアノのスタインウェイD274ミケランジェリのドイツ・グラモフォンマスター音源は、2017年の録音。同じな訳がない。

やはりコンサートグランドピアノを正確に鳴らすには、15Hz、120Hzを大分上げた上で、500Hzは-2ぐらいがいい。2KHz, 5KHz, 25KHzも上げないとグランドピアノの右手の倍音は出ない。

それで、コンサートグランドピアノがかなりの精度になったところで、いつも最後にチェックに使ってるキーシンの最新のマスター音源で確認。キーシンに合わせるとかなり変わるので、間ぐらいに設定。

そして、またジャズに戻り、約20曲で微調整。500Hz帯はやはり少し上げないとテナーもアルトも前に出て来ない。それで、グランドピアノの音色に濁りが出て来る直前の+2まで500Hz帯を上げた。また、ジャズはたまに低音が緩いアルバムがあり、15Hz、120Hzも少し戻した。

これで、またスタインウェイD274ミケランジェリのドイツ・グラモフォンマスター音源で確認。グランドピアノも許容範囲内で調整出来た。ただ、今回はヴァイオリンの倍音向け調整はしていない。それはもっと設定を追い込んだ後に。

ジャズとクラシックが鳴ればロックは余裕。ガンズアンドローゼズは当然しっかり鳴っている。

ただ、一つ困ったのは、Nordst Odinを入れるとよくあることだが、スラッシュのギターがライブで聴くホンモノより良い音色になってしまったことだ。良い分には良いのだけど微妙。とりあえずはこのままにする。スラッシュが来日したら聴いてもらって、どうするか決めようかと。因みに、レファレンスにしてるスタインウェイD274ミケランジェリのドイツ・グラモフォンマスター音源のコンサートピアニストのCDをスラッシュに前回会った時にプレゼントしたら、その後ツアー中に聴いたらしく、ベタ褒めのコメントが最近来てた。スラッシュはクラシック好き。

※以下、2023.1.27に追記

低域38cmウーファME150HSのみ位相を反転させた

昨日機材を入れ替えてくれたエンジニアがAccuphase F-20の背面のサブウーファーとノーマルの切り替えスィッチをサブウーファーモードをオンにしたまま帰ってしまったと言って来た。何か試して戻すのを忘れてしまったのだろうか。棚にギリギリに入ってるので、背面は見えないのでこちらでは分からなかった。

ただ、普通、サブウーファー出力回路は60hzとか80Hzとかのローパスフィルター入っててそれより上の周波数帯域の音はカットオフされる。昨夜調整した時そんなことはなかった。確かに、Mark Levinson No.26 2台を抜いたら低域が大分落ちてたが、カットオフされて60Hzとか80Hzとかより上の中高域側25cmコーン型ミッドウーファー2123H担当の290Hzまでの帯域が消えていたらすぐに分かる。それはなかった。(2123Hは250Hzから再生できるが、F-20のクロスオーバー周波数は290hz)

確かに低域の広がりが、Krell KBXチャンネルディバイダーよりは足りなかったが、それはKrellの性能ぐらいに思ってた。因みに低域用38cmコーン型ME150HSウーファーは30Hzから出るから、もしローパスフィルターがかかってたら30Hzから60Hzや80Hzまでだけ出てたことになる。そんなことはない。

変だなと思ってAccuphase F-20の取扱い説明書検索したらAccuphaseが出してない。F-25Vのはあった。F-20はF-25Vを2帯域分割のみにしたモデルだから仕様は同じはず。取扱説明書によると、Normal、Subwoofer切り替えスィッチをオンにするとL、Rの信号がミックスされて、両方からモノラルで出力されるらしい。

当時、ドルビーサラウンドとかより前の時代の3D方式と当時言われたやつだ。左右のスピーカーの間に低域担当のモノラルスピーカーを置く方式。100Hz以下の方向感覚感知しにくいからとマニュアル( https://www.accuphase.co.jp/manual_pdf/f-25v_manual_j.pdf )に説明まである。

また、ローパスフィルターは入ってないようだ。クロスオーバーネットワークを3D方式のネットワークとして使う場合はそのカットオフ周波数のボードを入れる訳だから、ローパスフィルターは必要ない。Accuphaseは、FB-70 が70Hz、FB-100が100Hzというクロスオーバー周波数ボードを売っている訳だから3D方式で使用するなら望みのカットオフ周波数のボードをご購入をというのが当然の論理。

ということは、Subwooferオンになってたので、昨日は、左右ミックスされた信号を290Hz以下はそのままモノラル再生してたことになる。それでも低域下がったので、Mark Levinson No.26はかなり多めに低域ブーストしてたようだ。McIntoshとどちらが低音よく出てるか競争みたいなことがあったのかも知れない。

因みに、Krell KBXに比べて広がりが足りないと感じたのはモノラルだったからということに過ぎなかった訳だ。なぜ、サブウーファー側スィッチをエンジニアが選択したのはナゾだが。F-20のせいではなかった。

エンジニアが午前中にNormal、Subwoofer切り替えスィッチをNormalに戻してくれた。それで今日は、また、"ノーマル"のF-20の状態でCello Audio PALLETEとMark Levinson No.26を設定し直した。

エンジニアがNormal、Subwoofer切り替えスィッチをNormalに戻した時に、フェーズスィッチいじってみたそう。その結果、中高域を位相反転したのも良かったですと言って来た。

というか位相だけでなく昨晩苦労して設定したCelloの各周波数帯も全然違う設定になってた。つまみがあると回してみたいのがエンジニアの修正。考えずに回すから元の数値覚えてない。それでNormal、Subwoofer切り替えスィッチもSubwooferにしたままにしてしまったのかも知れない。

因みに、各スピーカーの位相(フェーズ)調整は各周波数帯域のつながりや音圧をしっかり確保してからやる最後の仕事の予定だった。スピーカー間のバランスや周波数特性カーブをしっかりと揃えてからでないと位相の選択は意味ない。通常は位相は配線の赤と黒(プラスとマイナス)をスピーカーユニット毎にひっくり返してやるので、半田付けが必要だけど、Accuphase F-20は、低域チャンネルと中高域チャンネルのそれぞれにスィッチがついてるので簡単に位相反転出来る。

中高域チャンネルは、中低域用25cmコーン型(2123H)、中高域用:5cmドライバー(275Nd)+1インチスロートホーン、高域用:ドライバー型(2405H)の3つのユニットまとめてフェーズスィッチは一つだが。これはこれでいい。     中高域スロートホーン275Ndと高域ドライバーの2405Hの位相関係は、ダイアフラム位置が下がるホーンの場合はその長さとクロスオーバー周波数の関係でそれぞれの位相関係を決めているはずだから、どちらかだけを反転という訳には行かない。

オールドJBLは1980年代終わりまで位相(アブソルートフェーズ)が他メーカーと逆だった。Altecを独立したJames Bullough Lansingさんが、Altecで開発したスピーカー技術を流用したと疑われない用にスピーカーユニットの磁石の配置をSとNを逆にしたからとか言われてる。真相はわからない。JBLはJBL以外のスピーカーと組み合わせるなという主張だったのかも。だから、オールドJBLのユニットは、赤の端子に乾電池のプラスを繋ぐと、振動版が前に出ないで後ろに引っ込む。もちろん、聞いてる人には振動版がどちらで前に出るかは音は同じ。

ただ、1989年頃に他メーカーと同じになったそう。それで4344 MK2は他メーカーと同じ位相。 http://audiosharing.com/review/?tag=4344

また、4344は低域ウーファーが逆相だったけど、中高域の3ユニットは正相だったと記憶してる。ネットではミッドバスの2122Hだけが逆相と書いてあるものがあったが、それはないと思う。高域ホーン2405はダイアフラムの位置から逆相だった可能性はある。

基本的考え方は、JBL4344(MK2)は4Wayだけど、内蔵ネットワークでLowウーファー1ユニット用とHigh中高域3ユニット用で入力は切り分けられている。ジャンパーでLowとHighを繋いで片チャンネル1アンプでも使えるようになってはいるが、プロ用スタジオモニターとしてバイアンプ接続されることが前提だったはず。そうなると外部チャンネルディバイダー(ローパスフィルター)を経由してLowとHighに信号が分けられて入力されることが想定されて設計されたと考えられる。

当然、ローパスフィルターを通れば位相は移相(フェーズシフト)する。

https://www.analog.com/jp/analog-dialogue/articles/phase-response-in-active-filters-2.html

カットオフ周波数からの距離で移相量は異なるが、充分他のユニットとの干渉を引き起こすだけの移相は起きる。これがマルチウェイは音が悪くなると言われたゆえんである。もちろん現在のデジタルチャンネルディバイダーは位相シフトを補正するけど、当時のアナログチャンネルディバイダーでは位相シフトは避けれなかった。

JBLの当時のスタジオモニターはバイアンプ接続が基本だった。JBLのウーファーは能率が低かったので、ウーファー専用のアンプが必要だったからだ。もちろん、バイアンプ接続することで、ウーファーの逆起電力がツィーターに影響与えることが避けれるからと言ってたオーディオ評論家もいたが、以下とかの式見た限りでは可聴レベルのダイアフラム振動起こすような電圧上昇にはなりそうにもないので、当時のJBLのエンジニアが、バイアンプ接続を前提にしたのはウーファーの効率が悪かったからという理由だと思う。

http://www.ne.jp/asahi/shiga/home/MyRoom/9722dynamicspeaker.pdf

そうすると、4344がバイアンプ接続される前提で、カットオフ周波数290Hzでは、ウーファーとミッドバスは逆相にしたほうがいいと考えたと容易に考察される。実際、4344のウーファーはミッドバスと逆相で出荷されていたとネットに書かれてる。ただ、それだとシングルアンプで4344を鳴らしてた恐らくほとんどの日本のオーディオ愛好家は上下の位相が干渉し合ったダメな音を聴いてたことになる。JBL4344は鳴らしづらいとか、いい音で鳴ってる4344は滅多にないと言われた訳だ。

ということで、チャンネルディバイダーAccuphase F-20の位相切り替えスィッチを使って、低域と中高域の位相を同じにするのと反転させるのをそれぞれ試してみた。間違いなく反転させた方がいい。4344MK2は出荷時ウーファーとミッドバスが位相反転されてたのか資料がないが、鳴らしてみると明らかに位相反転した方がいい。

低域と中高域の位相をひっくり返した状態でMark Levinson LNP-2を設定した上で、Cello Audio PALLETEの各周波数帯域を調整した。

驚いたのは音圧をCelloで超低域側と超高域側をフルにしても音色は全く破綻しない。現在のハイレゾマスター音源は、LNP-2や当時ワイドレンジと言われた4344MK2の上下の周波数特性を遥かに凌駕した広帯域なのだと思う。

そして、スタインウェイD274ミケランジェは、今までとまた桁違いにリアルに鳴ってる。まるで軽井沢大賀ホールのステージの上で聴いてるようだ。樹齢2000年屋久杉の効果も一段と引き出された。

Pez Magic Ears and Eyes Onlyのオーディオは一段落。ストリーマーのM1Tの電源が貧弱だったのが、メーカーが純正外部電源を出して来た。後はそれが届いたら導入するぐらい。

また、環境に馴染んだ来たら、コンサートピアノミスト呼んで完成させるのは言うまでもない。結局、日本音楽芸術協会に預けてる機材では足りず、自宅の愛用機材達も貸与となった。

配線は以下(図4)のようになった。ケーブルのNordst Odinをプリアンプのように表示してるのは、書いたように実際そういう役割を持たせてるから。

※ 現在のセットアップは以下の図4となった。(2023.1.28現在)

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